kurumi– Author –

それからというもの、シゲルはどこに行くにもついてきた。シゲルがいないときは陽と家に籠り、買い物さえも仕事帰りのシゲルが対応するという徹底ぶりだ。私もやりすぎじゃないかと思うくらいに心配してくれる。こんなときだけど、夫の愛を強く感じてうれ...

「怖い思いをさせて悪かった。」 シゲルがぎゅっと抱きしめてくれた。私はシゲルの腕の中で安堵の涙を流した。「やっぱり俺がいないと知ってアイツがくるみに近づいて来たんだな。これからも注意しないと。」「うん。なるべく1人にならない様に気をつける...

シゲルに色々話しても心配させるだけだ。そう思っていたけど、あまりの不安感に1人で抱えることが出来ずに私は全てを話した。「とにかく今日はもうこのまま絶対家から出るんじゃないぞ！」「戸締まりもしっかりして、何かあればすぐに警察に連絡しろよ。」...

「くるみさん、申し訳ない。戻らないと行けなくなってしまって。」「いえいえ！本当に私のせいで振り回してしまってすみません。」「とりあえずオムツだけはすぐに買いに行きましょう！僕はその後で会社に戻ります。」その後、私達は急いで買い物を済ませ...

「会社からの伝言って何だ？」「この資料、渡しに来たんですよ。この資料をまとめて急いでデータにして欲しいって。明日の朝までに。部長からのお達しですよ。」カズヤがバサッと乱雑にペーパーを差し出した。「何だって？全然時間無いじゃないか。」「急...

「別のスーパーに寄りますか？今度は絶対ぼく離れないですから！」オムツが無いのは困るし、そうしようかな、と迷っていると。「見つけた！！」「キャー！」またカズヤが現れた。しまった。私達がここでゆっくりしてる間に探し当てられてしまった。でも今...

「大丈夫ですか？くるみさん。一体何が？」「スーパーにカズヤが来たんです。それで、腕を掴まれて‥」落ち着くと、急に体がガクガク震えてきて、私は涙を堪えながらケイスケに事のあらましを話した。「僕が電話でその場から離れるのを狙ったみたいに現れた...

スーパーの入り口で電話を終えたケイスケに会った。「あれっ？くるみさん？どうしたんですか？青い顔して。まさか？」「すぐ、ここから出ます！」私はとにかくスーパーから逃げ出したい一心だった。小走りに走った。カズヤが追ってくる前に逃げないと！「...

私は驚いて思わず大声を上げてしまった。胸元で寝ていた陽が声に驚いて起きて、泣き出した。突然叫び声を上げてしまったので、他のお客さんが一斉にこっちを見ている。カズヤは私の腕を掴んだまま、フリーズしている。その様子を見た店員さんが、「お客様...

「くるみの作るハンバーグが好きだったんだ。あれ隠し味何使ってんだっけ、味噌だっけ？」「‥」「あとクリームシチューも絶品だったよなぁ。ルーから手作りするやつ。」「‥」「あー、また食べたいなぁ。」「‥」「ほんと、くるみは可愛いし、料理上手だし、...