2023年4月– date –

「この会社に潜りこんでシゲルに近づいたのも、私に嫌がらせするため？」「嫌がらせなんて！くるみの周りの人のこと知りたかっただけだよ？陽くん…、かわいいねえ？」「やめて！！私の前から消えてよ！」信号が変わったので、私は急いでベビーカーを前に進...

後ろから声がする。…カズヤだ。私はベビーカーを懸命に押す。陽が寝ているからできるだけ静かに、でも、早く！…赤信号。止まるしかない。「もう、なんで逃げるの？」追いついたカズヤがニヤニヤしながら言う。スーツ姿だ。仕事の最中だろうか？「仕事中み...

「ちょっと、くるみ！驚かせちゃってごめん。」黙り込んだ私にみゆきが声をかけた。「あ、私もごめん。でも、びっくりはしたよ。」「あはは、だよね。でも、くるみにも不倫の良さ知ってほしいなあ。最高だよ？夫にも優しくなれて、良いこと尽くしかも。」...

「へー、この人かあ～。優しい？」私は平静を装いながら聞いた。動悸がする。「とっても優しいよ！カズヤ、若いのにバツイチでさ、娘ちゃんがいるらしいんだけど、全然会えてないんだって。だからうちの子のこともすごくかわいがってくれて。もしかしたら...

…カズヤ？今、カズヤって言ったの？「へ、へえ～、相手カズヤって言うんだ。何歳？」「25歳。あれ、くるみと同い年かな？若いっていいよね～、私なんか29歳だからさ。」…もしかして。「若くないよ～、ね、ねえ、写真見てみたいな！かっこいいんでしょ～？...