後ろから声がする。…カズヤだ。私はベビーカーを懸命に押す。陽が寝ているからできるだけ静かに、でも、早く!…赤信号。止まるしかない。「もう、なんで逃げるの?」追いついたカズヤがニヤニヤしながら言う。スーツ姿だ。仕事の最中だろうか?「仕事中みたいですけど、これからデートなんですか?」彼は他人だ。関わってはいけない人物。私はわざと丁寧語で応じる。「近くまで来たから会おうかって言ったら、わざわざ子ども預けてまで会ってくれてさ。あれ?嫉妬?」嫉妬なんて…ゾッとする。「違います!あなた、何を企んでるの?みゆきに近づいたりして!」「あはは。みゆきは遊びだよ?向こうは本気みたいだけどね~。ちょっとくるみにいたずらしたくなっちゃっただけ。」
母が夫の子を妊娠しました第137話
2023年4月11日
コメント