kurumi– Author –

「へー、この人かあ～。優しい？」私は平静を装いながら聞いた。動悸がする。「とっても優しいよ！カズヤ、若いのにバツイチでさ、娘ちゃんがいるらしいんだけど、全然会えてないんだって。だからうちの子のこともすごくかわいがってくれて。もしかしたら...

…カズヤ？今、カズヤって言ったの？「へ、へえ～、相手カズヤって言うんだ。何歳？」「25歳。あれ、くるみと同い年かな？若いっていいよね～、私なんか29歳だからさ。」…もしかして。「若くないよ～、ね、ねえ、写真見てみたいな！かっこいいんでしょ～？...

「いや～、みゆきの旦那さんほどじゃないけど、うちの夫もほとんど家にいないからさ。でも、不倫しようとは思わないよ…。」「え～、楽しいよ？私キレイになったでしょ？産後なんてボロッボロだったのにさ。恋の力で女として蘇った気分！いいこといっぱいだ...

「会社の前で道聞かれて、その日はそれだけだったんだけど。次の日かな？また道で偶然会ってさ。」「ベビーカーの車輪が隙間に挟まって困っているところを助けてくれたの。」話を聞きながらクラクラしてくる。子連れで出会って不倫関係になるなんて、男の...

「恋…？どういうこと？」旦那さんに恋してる！という言い方ではない。嫌な予感が的中しそうで…。「相手は秘密なんだけどね、すごく素敵な人！まあ、不倫なんだけどさ。」「え…、いつから？」そんな気は前回会ったときからしていたけれど…。どうしてこんな...

私との復縁を望んでいるならシゲルに隠れて接触してくるはずだ。夫の会社に潜入するなんて、自分の存在をシゲルに知られるに決まっている。訳がわからない。「危害を加える気もないようだし、大丈夫でしょ。」みゆきは私を心配するわけでもなく言う。派手...

「ごめんね～、うちは実家が遠くて預けることもできないから。陽、しずかにしてようね？」陽はベビーカーの中で眠そうに目をこすっている。寝てくれそうだ。パスタを食べながら、『事情』について話す。元夫が夫の会社に転職してきたこと、そして、ストー...

次の日、外に出られる幸せをかみしめながらベビーカーを押しながらカフェに向かった。みゆきは先に来ていた。子供の姿がない。今日は一人で来たようだ。「久しぶり！今日は一人なの？」「そう、実家に預けてきちゃった。ゆっくり話たくてね！」みゆきは子...

「明日はカズヤも大切な商談があるから、有休もとらないだろうけど…、心配だなあ。」「大丈夫よ。私たちが警戒しているのはカズヤだけじゃない。カズヤが仕事をしている時間なら安心でしょう？それに、もう家に籠っているのも限界なの！私も、陽も！」陽の...

「もしもし、くるみ？最近どう？」カズヤの事情を知らないみゆきは明るく言う。「最近は事情があって外出を控えているの…。でももう限界！早くランチしたいよ～。」ついつい本音が出てしまった。「事情？なにかあったの？話聞くから、ランチ行こうよ！明日...