kurumi– Author –

「くるみ‥」「カズヤ…。」何と目の前にカズヤが現れた。こんなタイミングで現れるなんて。まさかずっと見張ってたんだろうか。寒気がする。私は抱っこ紐の中の陽をぎゅっと抱きしめながら、目を合わさない様にしてその場を去ろうとした。だけどカズヤは早...

「あっ、すみません、ちょっと会社から電話があったんで出ます。」「どうぞどうぞ。」「もしもし！」「あれ？繋がりが悪いな‥」「すみませんが電波が悪いのでちょっとだけスーパーの外に出てきますね。」「どうぞ。ほんとお忙しいのに私のために付き合わせ...

「あはは‥！」ケイスケのお陰で、1人で引きこもって張り詰めていた心がほぐれる気がした。私はケイスケと陽を連れて近所のスーパーに出かけた。「えーっと、オムツは‥あ、あった。これでしばらく安心。良かったー。」「他に買っとく物ないですか？時間は全...

こんな私用で振り回してしまうのは申し訳ないから、食材も買いだめして、準備万端だと思ってたのに。本当にバカだ！「くるみさん！話は聞いてます。すぐに行きますから待ってて下さいね！」ケイスケはこころよく頼みを聞いてくれて、本当にすぐやって来て...

「あっ、しまった！無い！」 なんとこんな時に、陽のオムツがきれてしまった。「残り1個か‥次に陽が用を足したら、数時間で使い切っちゃうかな。」「あー、なんでちゃんとチェックしとかなかったんだろう！私のバカ！」本当に自分のうっかり加減に腹が立つ...

「ふぅ。行っちゃった。」シゲルには気丈に振る舞っていたが、本心を言うと私もすごく不安だった。普段の日中、シゲルの居ない時間帯も、ふとカズヤが現れたらどうしようという不安に襲われて、怯えながら過ごす時がある。そんな時はシゲルが帰ってくる夕...

「ありがとう。私もシゲルに何かあったら生きていけないから、出張気を付けて行ってきてね。」「ああ、なるべくすぐに帰ってくるからな。」翌朝。 「じゃあ、行ってくるよ。」「いってらっしゃい！そこまで見送るわ」「だめだ、くるみ！ちょっとでも家から...

「ああ、ほんとにごめん。他の奴に行って貰えないか頼んでみたんだが、俺じゃないとダメみたいで‥」「良かったじゃん！シゲルが必要だって、会社が言ってるって事でしょ。本当に私の事は心配ないから、お仕事頑張ってきてね！」「分かったよ。ただし、どう...

「くるみ、本当に大丈夫か？」午後10時過ぎ、陽が寝静まって、2人で過ごす夜のティータイム。私がテーブルに差し出したノンカフェインの紅茶にも手をつけず、こっちをじっと見つめる、心底心配そうな夫の顔。実はシゲルが明日から1泊の出張に行かなければ...

仕事場ではシゲルが監視の目を光らせているし、あの日おかしいと感じたケイスケも事情を聞いて協力してくれていた。母のことも受け入れてくれたシゲルには感謝をしているし、この人に出会えてよかったと心の底から感じれる毎日。母にもその後のことを話す...