kurumi– Author –

みゆきが駆け寄って、転倒したカズヤを起こそうとする。だがぴくりとも動かない。殴ったシゲルさんが「救急車を呼んでくれ」と握っていた拳をほどく。みゆきさんの夫がスマホから救急車を呼ぶと、騒ぎを聞きつけた隣の女性がドア越しに覗いていた。陽ちゃ...

「実は元妻は、自分の母親とも関係を持つように僕に頼んだんです。そのことが妻の実家にわかってしまい、それが原因で離婚したんです。でも元妻をどうか責めないでください。私がくるみをそうさせてしまったんです。くるみは私を愛しすぎて、狂ってしまっ...

シゲルさんがいきり立って玄関に走り、ドアを開けた。するとドアの外で「このやろう！うちの妻に近寄るなと言っただろ！」という怒鳴り声と共に、殴打する大きな音が響いた。「シゲルさん！」思わず大声をあげると、みゆきさんの夫が猛ダッシュで玄関から...

「来るって」みゆきさんが夫の耳元でささやく。「そうか、はっきりさせよう」とみゆきさんの夫。私は嫌な予感がした。一体誰が来るんだろう。まさかカズヤではないだろうか。「誰が来るんですか」シゲルさんも私と同じように嫌な気分になって尋ねた。する...

おそらくみゆきさんの夫は、自分の妻が意志を持って他の男と関係したことを認めたくないのだ。サレ夫にされるなんてプライドが許さないのだろう。「だいたい、なんでうちのみゆきとあんたは友達関係なわけ？うちの妻もバカにしているの」「ちょっと待って...

　みゆきさんの夫がみゆきさんを連れてうちに乗り込んできてから１時間以上経っている。「カズヤが言っていたよ、元妻からうちの嫁をセックスレスから救ってくれと頼まれたと。よくも俺をコケにしたな！バカにするんじゃないよ！」みゆきさんの夫はペット...

「これはフェイク画像です。誰がこんな画像を、、、、」私が必死に抗議をすると、みゆきの夫が意外なことを口にした。「画像はカズヤからもらった。元妻に頼まれて、うちの妻をセックスレスから救ってくれと頼まれたと。よくも俺をコケにしたな！バカにす...

するとみゆきの夫が、ペットボトルをドン！とテーブルに勢いよく置いて、「うちのみゆきを紹介したのはあんただろう」と責めてくる。私はシゲルさんと顔を見合わせた。怒りの矛先が自分の妻のみゆきさんやカズヤではなく、私に向かっているのだ。シゲルさ...

「僕もそうだと思う。くるみを信じているからね。でもみゆきさんのダンナは全てくるみのせいだと怒鳴り散らしているんだ」「ひどい。みゆきさんはどうしてそんなでたらめを言っているの」「とにかく、早く帰ってくれ。陽ちゃんは隣の家の年配の女性に預け...

「先生、私は怖いんです。法律でカズヤを縛っても、カズヤの心はまだ私に向かっていると思うと、眠れない夜もあるんです」　弁護士は少し考えてから、名刺フォルダーから一枚の名刺を差し出した。「カウンセリングが必要なら、この人を紹介します」優しそ...