彼はとても優しくて、芯が強い。 友達も誰一人として彼を悪く言う人はおらず、裏切られる恐怖は無くなった。 仕事も前よりも上手く行きだして、人生が前に向き始めたのだと自分でも分かるほどに幸せな日々だった。 一緒に暮らすようにもなり、結婚の話が出るのも時間がかからなかった。 彼の両親はとてもいい人たちで、私の離婚歴も気にしないと言ってくれる。 私の両親にも挨拶に行き、父は最初は警戒していたが二人でお酒を飲んで深い話をしたのか、この人なら大丈夫だと私に言うほど帰る頃には気に入っていた。 母は喜んで泣いていたし、幼い妹も可愛がってくれて、この人と出会えてよかったと心の底から思えた帰省だった。 結婚して数か月後、私の携帯に着信が入った。 「…え」 それは元旦那からで、悩んだ末に出なかった。 そしたら次はメッセージが送られてくるようになり、その内容は裏切り者や俺じゃないとだめだろうと言った背筋の凍るようなものばかり。 当然ブロックしたのだが、いい気分ではない。 離婚して月日も経つのに一体何なんだろうか。 意味が分からない。 過ぎたことだし、気にしても駄目だ。 今は旦那もいるんだし、忘れよう。 この時は、まさかあんなことになるだなんて思いもしなかったので、旦那には伝えなかった。
母が夫の子を妊娠しました:番外編:第5話
2022年9月6日
コメント