「先生、私は怖いんです。法律でカズヤを縛っても、カズヤの心はまだ私に向かっていると思うと、眠れない夜もあるんです」 弁護士は少し考えてから、名刺フォルダーから一枚の名刺を差し出した。「カウンセリングが必要なら、この人を紹介します」優しそうな雰囲気の写真が名刺に印刷されていた。白衣の女性は、どこかで見たことがある気がした。でも思い出せなかった。弁護士事務所を出た瞬間に、シゲルさんから電話があった。「どこにいるんだ」弁護士事務所と言いかけて、あわてて言葉を飲み込んだ。今日の相談はシゲルさんにナイショだった。これまで散々カズヤを巡るトラブルに巻き込んでしまったので、なるべく心配をかけさせたくなかった。でもシゲルさんの次の一言で、既にまた巻き込まんでしまったことを知ったのだ。「みゆきさんという女性と、そのダンナがうちにやってきたんだ。みゆきさんはくるみの友達で、くるみに紹介された元夫のカズヤと関係をもって、妊娠したと夫はかんかんに怒っているぞ」「ええ!まさか、そんな。嘘よ、みゆきさんの、でっちあげよ」
母が夫の子を妊娠しました第156話
2023年7月9日
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