「はいはい、わかったわよ。今夜お父さんにお願いしようね」来年は保育園に入園する陽ちゃんは、顔も性格も可愛らしい。目が大きくぱっちりしているのは、私の母にそっくりだ。バスから降りると、夕方の光に包まれた。幸せだ、と心の中で実感する。カズヤにストーカー規制法が適用され、接触禁止令の発動によって、妄想に憑りつかれたモンスターのカズヤが私の世界から消えた。こんな幸せなことがあるのだろうか。陽ちゃんの手を握りながら、家に向かっていると、「くるみさん」と声を掛けられる。振り向くと、みゆきだった。まさかの再会。でも私はこぶしを握り締めて、「今わたしたち家族は幸せ」と心の中で唱えて、深呼吸をした。「久しぶりね」みゆきさんは相変わらず、意味深な笑いを浮かべる。カズヤのことで何を言われても無視しよう。そう決めて「みゆきさん、お元気そうね」とほほ笑んだ。「ええ、とても」みゆきが私に向かって近づいてきた。自慢のシャネルのヒールではなく、低いパンプスを履いている。「元気よ。だってたった今、エグい投稿を見ちゃったから」「なんの投稿?」
母が夫の子を妊娠しました第151話
2023年6月28日
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