私は今、旅行会社で勤めている。 とてもやりがいのある仕事で、お客さんの納得の行くプランが出来た時には心が躍り出す。 同僚たちも皆良い人たちばかりで、新しい人生を始めれていると実感することが出来た。 「あの、今日暇かな?」 「…?特に用事はありませんよ」 「なら、仕事が終わったらご飯に行きませんか?」 そして私にも、新しい出会いがあった。 同じ会社の同僚で、さわやかな好青年だ。 久しぶりのお誘いに、顔が赤くなっていく。 「嫌ならいいんです。無理にさ「行きます」…本当ですか?」 「はい、行きたいです」 謙虚なのだろう。 断られると思ったのか私が嫌な思いにならないようにと気を使ってくれようとしたのを遮って、行きたい気持ちを主張した。 その返事に嬉しそうに笑う彼を見て、心が暖かくなる。 「すみません。おしゃれなお店にしたかったんですけど、ここの肉じゃがが絶品でどうしても食べさせたくて」 連れてこられたのは、商店街の小さな定食屋さん。 懐かし雰囲気のする落ち着く店内に、常連なのだろうか親しく話かけてくる店主。 おしゃれな店よりも私はこういったお店の方が好きだったから、 「私、まだ食べてないけどここのお店、絶対に好きになって通うと思います」 と目を輝かせて対面して座る彼に伝えた。 そんな私に笑い出す彼は、やっぱり素敵な人だなとそう言う。 気恥ずかしくなり、出てきた肉じゃがを頬張れば、その美味しさに感動したのだった。
母が夫の子を妊娠しました:番外編:第2話
2022年9月6日
コメント