母と旦那の不倫を経て、私は前に進もうと強い意志を持った。 父は母の傍にいることを決めて、母のお腹も順調に大きくなる。 複雑な気持ちは消えないが、無事に育つお腹の子どもに私も安心する。 『くるみ、いつ帰ってくるの?』 母はあれから変わろうと努力した。 私が東京に出ると決めたのは新しい自分を見つけるためだったが、母は自分のせいだと思い詰めていた。 母とは元の関係に戻りたかったし、東京に行くまでの期間は実家に戻って過ごし、少しずつだが前の家族に戻ったような気がする。 『暫く帰れないかな。今忙しくて』 『そうなんだ。そしたら何か送るから、必要なもの教えて』 東京に出てからも、母からは毎日のように電話がかかってくる。 いつ帰ってくるのか、病気はしていないか。 まるで私は学生かと突っ込みたくなる内容ばかりで、母なりに心配してくれているのだなと嬉しくなる。 そして母は出産し、私には妹が出来た。 写真に写る妹は母そのもので、元旦那の要素が無くて良かったと安心した。 父もメロメロなようで、電話越しに聞こえてくる父の声はいつになく高い。 自分の子どもじゃないと分かっていても自分の子どものようにかわいがる父に、母はさらに惹かれて心をもっと入れ替えると言っていた。 実家が幸せで溢れているのが嬉しくなり、私もこっちでの仕事を頑張ろうとやる気に満ち溢れる。
母が夫の子を妊娠しました:番外編:第1話
2022年9月6日

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